ケアコンサルタント 川上由里子公式ブログ

母の緊急入院

カテゴリー: 思うこと, 日常

皆様こんにちは 結人からのメッセージ、たいへんご無沙汰してしまいました。
晩夏から初秋へ、季節がようやく移り変わろうとしています。
虫の音が心地よい季節ですがお元気にお過ごしでしょうか。

猛暑続きの8月、一人暮らしをしている故郷の母が体調を崩しました。
お盆休みに入る時期でもあり医療にかかることも難しかったのですが、自宅療養は危険な状態との医師の説得で緊急入院。
健康だった母にとってお産以外初めての入院体験、母の顔は恐怖で青ざめていました。

一時は生命の危険もあり東京で仕事をしながら強く祈る毎日でしたが、回復の兆しが見え初めた時は心の底から安堵しました。
高齢者を抱える家族は皆同じかもしれませんが、誰もがいつかこの星を離れる時が来ることを覚悟しています。
でも、母とのお別れは、「いや、今じゃないでしょう!」。
家族の苦しみ、治療との闘いを目の当たりにすることは、家族にとっても不安を超えて、恐怖、哀しみです。
そして、判断、選択、実行の連続、必至の1ヶ月でした。

救急車対応、緊急入院、かかりつけ医師と病院の主治医二人との面談、家族への連絡や役割分担、留守宅の管理、退院準備、地域包括支援センター申請、ケアマネジャー、社会福祉協議会との相談、受診付き添い、日常生活の準備。この領域は専門領域です。
弟と兄、3人で懸命に力を合わせながら進みました。
9月退院後、母の暮らしは入院前よりも小さな範囲となり、先日介護保険の要介護認定を受け、今その結果待ちです。
人の助けが少し必要な状態となりました。

驚いたこと、嬉しかったこともありました。
頑なに入院を拒んだ母が、病院という場所がお気に入りの場所になったこと。
母は初めて触れる入院治療中の医師や看護師の技術と優しさに日々感動していました。
理学療法士、看護師や介護士との会話をよく電話で話してくれ私も安堵。
「由里子は良い仕事をしていたのね」(私は臨床ナースを13年勤めています)
あんなに抵抗していた入院。
母の希望を聞いて自宅にいたら今頃母はこの世にいなかったでしょう。
今では笑い話です。
人にとって医療が必要な時は必ずあり、治癒のためには怖くても信じて受けることも必要なのです。

今回の入院では患者や家族の目と心をきちんと見て話し、医師という仕事への情熱を感じる素晴らしい主治医に出逢え、私も感動しました。
医師も看護師も皆専門職である前に人間です。
患者や家族の前に立つ時、その人の人間性が現れます。
しかし、心無い専門職に遭遇した時の驚きや怒り落胆も大きいものですね。
若い医師の未来に心からエールをおくりました。
そして、私自身の振る舞いはどうか?気をつけていこうと心に誓います。

私は仕事と介護の両立を支援する仕事に従事しています。
しかし、この緊急事態で、瞬時に「仕事と介護の両立なんてできない!」と心が叫びました。
理屈理論では通れない場面です。
「だからこそ、私は今、医療機関を離れ、働きながら介護する人たち、介護に遭遇する人たちを支援する仕事に情熱を注いでいるのだ〜」とあらためて自分のケアの旅路を実感。

医療から、介護への移行期、介護保険サービスを利用する手前。
このステージでお困りの方はとても多いことでしょう。
また、問題が生じていることに気づいていない方も多いと思います。
どうかあらゆる人にとって、本当に必要な医療や介護が受けられる社会でありますように。
高齢者など小さく弱くなった人々も、適切な医療や介護や愛が誤ることなく、歪むことなく受けられますように。
私は願いを込めて自分の選んだこの道を信じて歩き続けます。

無我夢中の強烈な2ヶ月間。
友人、職場、多くの方々の強さと優しさに助けられました。
感謝しかありません!!!
心ある他者の声は、時に懸命になりすぎている自分を気づかせてくれ、バランスをとるための力にもなります。
心よりありがとうございました。

そして、懸命に生きようと頑張った母の生命にありがとう。
まだまだ人生を楽しみましょう。
天国の父も「まだ早いね〜」と私の耳には聴こえます。^^

人の役立つ自分作りの旅はまだ終わりません。
苦しみや悲しみ、終わりという現実から逃げないで前に向かいます!
これからも宜しくお願いします。
秋の月が、風が、富士山が、この国に暮らす私たちを見守っています。

認知症を理解する・伝える 私の旅

カテゴリー: 思うこと
手摺木版画 保田温良さん「不忍池(東京上野)」

「認知症のセミナーを職員のために」と初めてお願いされたのは、今から15年前頃だったかと思います。
未だ社会は認知症に対しての関心も理解も薄い時代。
国策であるオレンジプランが始まったのも2012年です。

「認知症」という疾患に関心を持つ医師や看護師も当時は少なく、最前線の治療、医学や看護が注目されていました。
臨床の現場では、認知症の方が一般病床に入院すると、入院の原因となった疾患への治療が優先されます。
私自身も、医師の指示で認知症を患った人工透析療法中の患者さんに鎮静剤の注射を打つという役割を担った時の恐怖感は忘れられません。
患者さんの目は私を強く睨みつけました。
今思えば、打たれた方は私以上に相当の恐怖であったことと思います。 
認知症を患うとはどういうことなのか?望まれる治療やケアは?相手の立場になるってどういうこと?どんな説明なら通じるの?どんなふうに感じているの?同じ人間なのにわからない。
心のなかにもやもやした感情が残り続けました。

私は、ナースとしての臨床経験を13年積んだ後、自分の意思で地域の「認知症の人を抱える家族の会」を探し出し入会。
ご家族と様々な施設や病院を訪問しボランティア活動をしました。
NPOの訪問介護事業所でもボランティアヘルパーとしても参加し、認知症の方の暮らしやケアの実態を学びました。
ナースなのだからそのぐらい知っているでしょう?と思われる方もいるかもしれませんが、いえいえ、医療者で認知症のことを正しく理解している方は少ないのです。

その経験ですさまじい実態を知ったときの衝撃は大きなものでした。
なぜ、経済大国日本でこのようなことが生じているのか。
うつろな目をし、同じ髪型、同じ格好をし何もしないで無機質な灰色の空間で過ごしている高齢者とケアする人たち。
なぜ?なぜ?なぜなのーー???!!!豊かな国とは何?これってなんかおかしい!!何かできることがあるはずでは!!しなくてはならないのでは!!
その時の私の魂の叫びが、今日の活動につながっています。

私はその後、認知症に関する学びをコツコツと続けながら認知症に関する情報を支える側に発信し続けています。
自分の家族も認知症となり、支える家族側の経験もしました。
悲しみと感謝の毎日でした。父は私に人間の生き様を知る時間を与えてくれました。

6月以降、企業での認知症セミナーが続きました。
オンラインでの発信となりますが、ある企業では、受講希望者数が700名以上となり嬉しく感じています。
より多くの人に伝えることができる機会に心より感謝しています。
認知症サポーターもこれまでに約1500名を産むことができました。

全国の市区町村ごとに「認知症ケアパス」↓も作成され(実施率は88.4%・2020年実績)、誰に相談したらよいのか、医療、介護それぞれにどんなサービスがあるのかがわかりやすく道案内されています。Webサイトでの情報も充実してきました。

先日、地域の社会福祉協議会が主催された「後見制度・相続・遺言」のセミナーを聴講。講師の司法書士稲岡秀之先生の実務を交えたお話は、学びとともに人間としての暖かさを感じる場面が多く、やはり実例や実践は心に響きますね。

私自身も記憶力の低下をう~んと自覚する年齢となりました。
判断能力や記憶が低下していく…。
忘れたくないことがたくさんあるなあ〜と遠い目のワタシ。
自分の中に残しておきたい大切な思い出って皆さんはどんなことですか?
大切にしてきた人生の宝物を心に留め、自分自身の生きてきた旅路を回顧し愛することができるように、私達にはできることがあります。
そのことが、少しずつわかる社会となってきたことを私は本当に嬉しく思っています。
これからも自分ができることを探求し続けます。

小さな悩みやお困りごとは、勇気を持って誰かに相談することで、いつか誰かを支える知恵に変わります。
そして大切なことは人と人とのコミュニケーション。“対話”とわたしは感じます。
皆さん共につないでいきましょう。

~私が忘れたくないこと その1
看護師として働きはじめた頃の患者さんとの対話
東海大学病院10B病棟 22歳

読者からのお手紙

カテゴリー: 思うこと

皆さんこんにちは、6月に入りました。
季節はしっかり巡り、扇風機をまわしている私の部屋には、大好きな紫陽花が届きました。
お花を覗き込むとまるで宇宙のよう、美しいです。
緊急事態宣言もようやく解除され、少し動くことができほっとしたところですが、早速東京アラートが発令されまだまだ油断ならぬ状況ですね。

ドライアイの私にとっては、マスクにより目の乾燥が抑えられた点は思いがけず良いこと。
でも、暑い季節のマスク、これまた初挑戦ですね。すでに今日は30度以上の高温。
マスクを着用しコロナと熱中症予防をしながらの暮らし。
良い呼吸、良い水分補給を意識していきましょうね。

ユニクロがエアリズム素材でのマスクを開発し販売予定、無印良品でも通気性の良いオーガニックコットンのマスクをネット通販で販売しています。
各スポーツメーカなども開発される予定ですね。
マスクも衣替えしながら頑張りましょう!

昨年発行した「これで安心!働きながら介護する」の読者から、出版社技術評論社様経由でお手紙をいただきました。

新潟県佐渡市にお住まいのHさんは、高齢なお母様を在宅で介護中です。
私の本を読み大変励まされ、思わずお手紙を書きましたとの封書を頂戴し、私のほうが丁寧に書かれた肉筆に大変励まされあたたかな気持ちになりました。
私はお返事を書き、そこに生命の樹のイラストも添えてみることに。
決して上手ではありませんが、終わりに、のエッセイに添えたイラストです。
色鉛筆で一生懸命描きました。これは、お母様と一緒にみていただけたら嬉しいな~と思ってのことだったのですが…
数日後、私の拙いイラストをご覧になり、母が目を細めていますとの嬉しいお返事が再び届きました。(やったー!)
はるか遠くに暮らす読者さんと本を通じて心が交わせた瞬間、とっても嬉しいです。

Hさんはご自身の介護体験を通じて、佐渡市での介護の理解を広めようとご尽力されています。
また、佐渡といえばトキ。トキの保護についてもご熱心で、「トキかわら版」も添えてくださいました。佐渡市にお越しくださいとのメッセージも。
私は佐渡市を訪れたことはありませんが、Hさんご家族と介護の話はもちろん、たらい船にのり佐渡の海を見て、トキに一目会いにいつかうかがいたいな~と想いを馳せます。
介護は大変なことの連続ですが、Hさんは積極的に情報を得て学び、周囲に伝え、本を読んだら著者にお手紙を書き、想いを行動に移して素晴らしいです。
人はささやかなことで勇気がでたり喜んだりしながら前に進むことができますね。
Hさんお便りをありがとうございました。
お母様の在宅介護、心より応援しています。
離れていてもできることをさせていただき嬉しかったです。
お互いに頑張りましょう。

つい先日、名古屋在住の大先輩から、「書店にて本発見!」とのご連絡をいただき、えっまだ面陳?と嬉しくなりました。
がんばれ、旅する「働きながら介護する~ケアも仕事も暮らしもバランスとって~」。
多くの人を応援し続けよう。

コロナのある暮らしに想う

カテゴリー: 思うこと

新型コロナ感染者の数がようやくようやく減ってきました。
毎日深刻な報道に胸が痛みますが、一人ひとりの自粛や予防効果が出てきたのではないでしょうか。
感染への恐怖、行動の制限、人との距離、仕事や収入の減少など、それぞれに辛い状況に立ち向かいながら過ごされていることと思います。

また、介護や医療の現場から切実な声が届いてきています。
今は現場に駆けつけられない私にとっても、歯がゆく辛いSTAY HOME、SOCIAL DISTANCEですが、懸命に命を守る医療、介護職にそして、生活を支える仕事をしている方々に、多くの生活者に心からのエールを送る日々です。

私はというと、半分は在宅ワーク、半分はほぼプー太郎(講演研修依頼ストップ)となりました。
とにかく感染しないさせないことが大目標なれど、この状況では、体力気力が低下し人間として沈没します。

そこで今までしたくてもできなかったこと、毎朝夕のウォーキングを始めました。
感染予防をしながら毎朝もくもくと往復60分、ヨーガと体操も組みあわせて実行。
最近は速歩のスピードが上がり、昨日からは一部走ってしまいました。

余談ですが、ウォーキングの途中、顔の黒いユリカモメ(百合鴎)を発見!!
鳥好きの私は異変にびっくり。
調べてみると、ユリカモメ(チドリ目カモク科カモメ属)は気温が上がる4月中旬頃になると顔が黒くなるとのこと。
まるで黒頭巾をかぶっているようです。
冬は白く夏は黒いお顔のユリカモメは、実は渡り鳥で日本への飛来時期は4月と10~11月。
たまたま通過地点で私は黒いお顔を発見したということです。
以降、白ユリさんと黒ユリさんを毎日観察していたら、ある朝突然、白黒あわせてそっくりいなくなってしまいました。旅に出たのですね。
忙しい日常では見ることのできない鳥の生態を学びました。

皆、マスクをして距離を保ち歩いたり走ったり、犬のお散歩をしたり。
それぞれ工夫されているようです。
というか、歩くしかない!という感じもあります。
私は毎朝対岸の大きなユーカリと桜の樹にハイタッチ。
風と新緑と大樹に、今までの何倍も癒やされます。

玄米を炊いて季節のお野菜を中心とした食事。
断捨離に笛の練習、音楽を聴き、読書。
私の人生初のゆとり生活、そしてシンプルライフです。

故郷には向かえず一人暮らしの母のことが気になりました。
そこで、兄と弟家族に声をかけチーム力を活かしています。
孫の力は偉大です。私は一日おきの電話で日常報告。
母の楽しそうな写真や声に安堵しています。
デイサービスが休業となってしまったという複数の友人には“気持ちのよい清拭”方法を伝えました。

一方、まだ一度だけですが、ドキドキしながら初めてのWeb会に参加(zooms)。
海外、北海道、北陸、東京など遠隔地にいるカウンセリング研究会の仲間と繋がったのです。
これは初めての感覚。
アナログ派の私ですが、こんな繋がり方も今後は当たり前になっていくのでしょうか。
友人や家族とはラインやメールで繋がり笑ったりストレスを吐き出したりと助けられています。
今日は友人にいただいた新茶と隣のセブンイレブンのお団子。
ありがたいですね。あたりまえのことができる時間、人の心に気持ちも休まります。

“withコロナ”とテレビで専門家が話していました。
これから私達はコロナと共に生きていく方法を探すことが求められそうです。
新型コロナは恐ろしいウイルスですが、これまでの暮らしを見直すきっかけのように思います。
私達に本当に必要なものは何か?
そのことを今一度考えてみる機会を与えられたのではないでしょうか。
当たり前が当たり前でなくなった時、習慣を見直すことにより必要なものと不要なものが見えてきます。
原点に戻ってみようよ。今、自分自身にもそう声をかけています。
皆さんにとってのシンプルな暮らし、大切にしたい暮らしとはどんな暮らしですか?

夜は毎晩お月さまを眺めています。
これからの清貧な暮らしに不安を抱えてはいますが、ある意味理想とするところでもあり、ヨーガ恩師に学んだ月の瞑想で心が落ちつく日々です。
古の時代、娯楽はなくこうして移ろいゆく花鳥風月に想いを馳せていたのでしょうか。

GWは本もたくさん読めました。
時々頁を開く北山耕平さんは、ネイティブ・アメリカンの精神を日本に伝え、新しい生き方を探求し素敵な自分流を持つ大人です。
2001年に出版された「自然のレッスン」には街の中で自然に暮らしていくために、忘れてはいけないことがやさしい言葉で書かれています。
第1部はこころのレッスン、第2部はからだのレッスン、第3部は食べ物のレッスン。

『第一部 こころのレッスン』

生きることで悩む人へ

食べるに十分な食べ物があって
夜に安心して眠れる場所があり
怖れと戦うだけの
ちょっとした勇気があるのなら
あなたは
涙で睫毛を濡らす必要など
ないではありませんか。

「自然のレッスン」(著:北山耕平)より

人生には様々なことが起こります。きっとこれからもそうでしょう。
でも、歩けること、食べること、自然に生きることは何よりも大切な恵み、感謝です。
コロナに試される社会。
自分も苦しいけれど、他人を思いやり強く明るく生きていく。
人を守れる強さとやさしさを持った人間になりたい。
これは私の人生の夢です。
今こそ人間が試されていくのかもしれません。
誰にとっても本当の心の時代が来てほしいと願っています。
皆様お疲れさまです。
明るい方向を目指しながら共にがんばりましょう!

2019年末を向かえて

カテゴリー: 思うこと

今年も色々ありましたが静かな冬がやってきました。
空気が凛とする冬の日が私は大好きです。
こちらの目が回るような忙しさとは関係がなく、葉が色づき、落葉し、マイバースデーを迎え、そして新しい年を迎えます。

ようやくほっと一息、大切な「結人」のお疲れ様会にてほっこり。
今年はさらに大忙しでしたが、来年も小さいけれどあったかい結人が育ちますように。

千葉の親友のサプライズご招待で、恵比寿ガーデンプレイスホールでの畠山美由紀&アン・サリーのコンサートへ。
素敵すぎる~!大人の女性の歌声に癒やされ憧れます!
隣で友人は涙ポロポロ…。こっちも素敵すぎる~

夜の火の月2019ライブ(赤坂)では、マークさんの魂の音を感じ、「光の精霊たち」や即興演奏の「虹」に涙がほろり。
https://ameblo.jp/markakixa/entry-12553681547.html

誕生日には都会を脱出し大空を仰ぎ

大混雑の東京駅を脱出し、帰省先の故郷、八幡神社から駿河湾を眺めます。
故郷ってあったかいです。

何故か恩師マークさんが発表会の講師演奏に選んだ「Open Arms」を吹きたくなり耳コピで練習しています。
母は台所で今年も9人分のお煮しめをゴトゴト作ってくれています。
いい匂い 手伝わなくっちゃ・・・(笑)

平成が終わり令和元年へ。2019年もまもなく終わろうとしています。
私は今年は一冊の本をまとめるという目標を達成できた年でした。
あたたかなお心遣い、ご支援をいただきましたお一人ひとりの皆様、ありがとうございました。
皆さんにとってどんな1年でしたでしょうか?
2020年、素晴らしい年をお迎えください。
感謝をこめて~ 川上 由里子

まだまだ残暑厳しき毎日ですが、朝晩は秋風や虫の音が心地よい季節となりました。
皆さんお元気ですか?

出版後、9月早朝の富士山を撮影

今月は皆様に本をお届けしたり、お祝いの言葉をいただいたりと忙しくも嬉しい9月でした。

発売当日、本当に本屋さんに並ぶのかな?なんだか信じられなくて…。
ありました!ありました!!(涙)
有楽町の三省堂、医学書コーナー。感激の瞬間です。

「友人へのプレゼントに3冊ゲット」と義妹より連絡あり、静岡戸田書店にて購入とのこと。

上野駅構内の書店にありました!とお出かけ場所からの発見情報ワサビさん。

看護大学や教員養成課程で一緒だった人達のラインに本の紹介をしたよ、ライン上でいろいろな意見が交わされたよ~と友人。横浜そごう紀伊国屋から。

故郷への帰省時に発見して感激した!と博多の大型書店丸善から。
「知人にこの本をプレゼントしたら、介護に困って本を6冊読み漁ったけれどようやくこの本に出会えたと感謝されたよ。」と嬉しいメッセージ。

「本屋にいったらチェックするのが習慣になってしまった。」と武蔵小杉、紀伊國屋書店。

「出張先の本屋にもありましたよ。嬉しいですね。」と京都ジュンク堂。
早朝出勤での朝の会話、隣のデスクの課長さん。

「由里子本」にカバーをつけたよ!明るい朱色も元気をもらうね。
朝、お迎え前に由里子本をもとに友人と介護の話をしようということになったよ!と千葉の友人から。

所沢でデイサービスを運営する従兄弟のお兄さんは、「由里子ちゃんの伝えたいことは・・・こういうことだよね。しかもそれを実践しているよね。」と大切なことを要約してくれました。

その他にも多くの皆様からあたたかい感想が届く毎日で、お手に取ってくださった皆様、ご一読いただきました皆様に感謝の気持でいっぱいです。

故郷の小さな町に暮らす母は、1冊の本を抱きかかえて町のさまざまな人達に紹介してくれています。
コツコツと心をこめて書いたこの本がどこか遠くで、近くで、誰かの手に渡り不安や悲しみを抱えている人を励ましてくれますように。
旅する由里子本ガンバレ!

相談援助で大切にしていること

カテゴリー: 思うこと

「川上さんが相談で最も大切にしていることはどんなことですか?
人はなかなか自分の悩みは職場では話しませんよね。」
時々そんなことを尋ねられることがあります。
私は相談業務に従事してちょうど20年となります。
日々、働く人や介護する人の声を真摯にうかがっています。

相談にはさまざまな援助技術が必要です。
医療福祉専門職として専門的なアセスメントは欠かせません。
先入観を持たずに傾聴し、背景を把握し、問題点から課題を分析、その人に必要な支援を考え実施します。
大切にしていることは、その人のニーズに対応するということです。
ニーズとは、本人(相談者)が自覚している要望(デマンド)とは異なり、本当に必要なことです。
そのためには専門的な知識が不可欠で、やさしい気持ちだけでは解決できません。
援助者としての日々の努力がここで現れてきます。

そして、何よりも私自身が大切にし続けていることは、あるがままの相談者を受容し、共に問題解決しよう、一歩でも良い方向に向かおう、支える先にいるご家族(親や配偶者など)も、相談者も共に明るい方向に向かえるように、という想い、姿勢です。
その思いは目の前の人に必ず伝わります。

私が行っている研修や講演の一コマでは、人の相談を聴く立場の人に、相談とは、を伝えることがあります。
「バイステックの相談援助技術」は、ケアマネジャーの試験にも出てくるものですが、相談とは何かの基本に立ち戻ることができます。
少し難しいかもしれませんが、自己決定の法則、受容の原則などは、医療福祉専門職でなくても誰かの相談に乗る多くの方に知って欲しい内容です。
人は誰もが自分で納得して決めたい、自分を認めてほしいという欲求を持っています。
相談援助とは何かをしてあげること、情報を提供することではなく、基本的には「本人が自分の力で進めるように」支援することです。

川上由里子オリジナルセミナー資料より引用

ちょっと難しいかもしれませんね。

人の情熱は人を動かし支えます。
情報や知識は大切ですが、どう伝えるかによってまったく異なります。
そして、私は相談者の心の声から多くの学び、発見、課題を得ます。
淡々とその修業を続ける道でありたいと思っています。

今日はどんなご相談者に出会えるかな?
お役に立てますように、力になれますように、と祈りつつ相談に向かっています。

いのちの授業

カテゴリー: 思うこと

休日を利用し都内の大学内ホールにて、看護教員の友人と共に「いのちの授業」を聴講してきました。

主催は一般社団法人エンドオブライフ協会
代表の小澤竹俊医師は横浜市内で在宅医療を行う傍ら、人生の終わりを支える人の具体的援助の為に活動を広めています。

私たちの国は、今後ますます高齢化が進み、多くの方が亡くなっていく多死社会を迎えます。
数年前、横浜市内にあるめぐみ在宅クリニックにて直接先生のお話をうかがった際にも、先生の死に行く人を支える人へのケア、育成の実際の活動、情熱に心から共感感動し、胸が熱くなりました。
支えたいのに「いっそ死にたい」と言われ返す言葉がない、といった経験を私も何度も繰り返してきたひとりだからです。

この日のセミナー「いのちの授業」では壇上で授業の様子が展開され、人の苦しみに向き合う人ってどんな人なのか、どんなことなのかをとてもわかりやすく学びました。
壇上の生徒と聴講者全体での学び、共感に広がっています。

私は相談援助を通じて、日々親や家族の終わりのステージに向き合う人の支援をさせていただいています。
人の苦しみや悲しみに寄り添える人になりたい。私の永年のテーマです。
その為にも自分の苦しみにもしっかり向き合える人になりたい。いつもそう思っています。

今抱えているマイプロジェクトをしっかりやり終えたら、講座を受講し学び役立てたいと思います。

2017年に出版された小澤竹俊先生の著書「死を目前とした人にあなたは何ができますか?」
苦しむ人への援助の仕方が具体的に書かれています。
第4章は自分を認めることの大切さ「これで良い」という言葉。

胸に響く言葉です。
小澤先生の活動がもっと多くの人に広がりますように祈っています。

3月11日

カテゴリー: 思うこと

東日本大震災から7年が経ちました。
3月11日、東京の大地も大きく揺れ、私も生まれて初めての体験をしました。
あの日のことや、石巻市の福祉避難所で出逢った方々のことを思い出す一日です。
東北の方々のことを想うと今でも心が痛みます。

空にむかって追悼の曲を吹きました。

3月11日

3月11日 夕暮れ

多くの人の苦しみや哀しみを、忘れてはいけない一日です。

介護のご相談

カテゴリー: 思うこと, 活動報告

秋の富士山

紅や黄色の木の葉が舞い落ちる季節となりました。皆さんこんにちは、お元気ですか?
私は…といえば、お伝えしたいことがたくさんあるのですが、ブログを書いている時間がなかなか取れません。(涙)
気にかけながらも、くるくると毎日走り回っています。
様々な体験の一つひとつに感謝しながら学びや発見を繰り返しています。
 
10月、従業員の支援に前向きに取り組まれている企業様での個別介護相談会が始まりました。
今月から私はご相談対応の為に定期的に足を運びます。

介護の相談には、介護保険制度、サービスの活用や住まい(施設や高齢者住宅選び)、認知症、介護用品、住環境(住宅改修)など、相談は多岐に渡り複合的です。
私は介護保険に限らず広い範囲での相談援助を開発し、1999年から伺ってきましたが、ご相談に訪れる方々には、初動期に遭遇する医療機関での戸惑いや混乱、また終末期に発症する疾患、肺炎に伴う嚥下困難など、医療を必要とする状況時の対応、終末期の過ごし方、延命治療などに関するご相談も含まれてきました。
特に、死への向き合い方に関しては大変難しいご相談対応で、ご相談者の立場に立ちながら共に考えましょうという支援を心がけています。

ナースとして働いた13年の経験から引き続き、私が感じていることは、人はなぜ自然な死を選べないのか、ということです。
延命だけを重視してきた医療について、医療や介護を提供する側も受ける側も、誰もが考え反省すべきだと思っています。
小さく弱くなる家族や自分のありのままを受け入れることは、決して容易なことではありません。
心の痛みも伴いますが、死はかわいそうなことでしょうか?
平穏死を伝えている石飛幸三医師の活動や、聖路加国際病院の日野原先生の終わり方も、私たちに大切なことを伝えてくれています。
本当の豊かさとは受け入れることから、と私は思っています。
また、そのことを教えてくれるのは、相談に来られる方お一人おひとりでもあります。

「今日、話せてよかった。」「こんな話は家族にも誰にもできないので、一人で抱えていた。」
大切なご家族のこと、介護のこと、命のこと、勇気を持ってお話してくださる皆様に感謝いたしております。
私は人と人が対話するというシンプルな関わりをとても大切に考えています。
ご相談に来られた方々が、真の問題に気づき、問題解決のために自分で動くことができるよう、これからもサポートに努めます。

「今日は死ぬのにもってこいの日 MANY WINTERS」

皆様の心の支えになるかどうかわかりませんが、私の愛書の中から、ネイティブ・アメリカンの死への向き合い方をご紹介します。

今日は死ぬのにもってこいの日だ。
生きているものすべてが、わたしと呼吸を合わせている。
すべての声が、わたしの中で合唱している。
すべての美が、わたしの目の中で休もうとしてやって来た。
あらゆる悪い考えは、わたしから立ち去っていった。
今日は死ぬのにもってこいの日だ。
わたしの土地は、わたしを静かに取り巻いている。
わたしの畑は、もう耕されることはない。
わたしの家は、笑い声に満ちている。
子どもたちは、うちに帰ってきた。
そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ。
 
    「今日は死ぬのにもってこいの日 MANY WINTERS」
     ナンシー・ウッド著 より

「今日は死ぬのにもってこいの日 MANY WINTERS」

太陽が昇り沈むように、一粒の種から木の葉が芽吹き育ち、やがて大地に落ちるように、人間の死も自然の一部と捉えることができるようにする為には、私たちに何が必要なのかを私自身も問い続けながら生きています。
人生のステージの最も大切な冬の季節を大切にしてほしい、その人らしくあってほしい、私の強い願いです。
皆さんはどう支え、どう生きますか?

これから寒い季節に向かいますが、皆様季節の移ろいを楽しみながら元気に参りましょうね。

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