ケアコンサルタント 川上由里子公式ブログ

おみおくりの作法

カテゴリー: 日常

水仙や、梅の花のほのかな香りを感じる季節となりました。
三寒四温を繰り返しながら春までもう少し、皆さんお元気ですか?

2月22日(日)、空は薄曇り。今日は映画館に出かけました。
マンションから勝どき橋を越えて銀座までてくてく歩いていると、沢山のランナーが色鮮やかな波のようになって走っていました。
そう、今日は東京マラソン2015。
街頭の応援者やはとバスツアー、JAZZバンド演奏など、日頃は車の往来が多い晴海通りも賑やかな街に様変わりです。

東京マラソン2015

築地3丁目あたり がんばれ〜がんばれ〜

歌舞伎座前

東銀座、歌舞伎座前 がんばれ〜がんばれ〜 応援する人、楽しそうに走る人 人 人 
ランナーをみていると、合気道部時代に毎日毎日、素足に袴姿で走った日々を思い出します。
あの頃は走り続けていましたが、今は… お散歩派です。

銀座シネスイッチ

写真を撮りながら歩くこと30分、銀座4丁目の山野楽器の裏通りにある「銀座シネスイッチ」に到着しました。時々足を運ぶ小さな映画館です。

おみおくりの作法

私が選んだ映画は「おみおくりの作法」。(ウベルト・パゾリーニ監督)

ロンドン市ケニントン地区で働く44歳公務員ジョン・メイ(エディ・マーサン)の仕事は、
ひとりきりで亡くなった人の住まいを訪ね
・亡くなった方の写真を見つけ出すこと 
・故人の知人を探し葬儀に招待すること
・葬儀にふさわしい音楽を選び、弔辞を作り、葬儀に列席すること
たったひとりで亡くなった方の葬儀を行う仕事です。
22年間見送りした人は数知れず。自己表現や笑顔は苦手な男性。

この映画は、監督が実際に読んだ新聞記事に着想を得て生まれたそうです。
ロンドンの各地区にいる民生係30名に実際に会い、実在の人物、出来事について取材を重ね誕生した主人公ジョン・メイ。
海を超えた遠い国でも、孤独、死、人と人とのつながり…。
日本と同じようなことがおこっていることを学びます。

静かで素朴なシーンが積み重なって、主人公の心の旅とおみおくりの作法から切なさとあたたかさを得ることができます。
この世にいる人、あの世にいる人、全てに真摯に向き合う主人公に心打たれました。
私もラストシーンに賛成です。

超高齢社会を迎えた私たちの国は、今後ますます多くの方が死を迎え、多くの人がおみおくりに関わる時代となります。
昨年、私の父は500人もの方々にみおくられ旅立ちました。
それぞれの方と父の間にお別れの言葉や時間があったことと思います。
私の故郷の友人もやはり昨年、挑んだ心臓移植後に残念ながら逝去し、30名程度の家族や親しい人でおみおくりしました。病院からの直葬でした。

そして、社会には誰にもみおくられず、旅立つ人も存在しています。
どんな人であれ、人生であれ、どんな最期であれ、人の人生は等しく尊いものです。
私は、どんな死にもやさしい社会であってほしいと願い、日々私のできることを探しています。

映画が終了すると外は夕暮れ、まだまだ冷たい春の風。
コートのベルトをきゅっと締めて、てくてくと帰路につきました。
生きている間に心があたたかくなるようなことをたくさんしていきたいですね。

勝どき橋

帰り道も勝どき橋を渡りながら帰りました。川の流れは雄々としています。
映画はその国の文化を学ぶことができます。
来月は認知症高齢者への音楽療法の効果を伝えるドキュメンタリー映画「パーソナル・ソング」を観たいと思っています。