先日、故郷で暮らす幼馴染から1枚の写真が届きました。
「わーーなになにー素敵!」 思わず叫んでしまった私。
彼女がコツコツと学びながら描いた「己書」というものだそうです。
真観 清浄観 広大智慧観 悲観 慈観 と筆で書かれています。
子供や家族の応援、顧客に対面する金融の仕事で大忙しの彼女は、自分の趣味の時間、ましてや創作の時間などはなかなかとれず懸命に走ってきた人生だったと思います。
でも、この慈愛に満ちた絵に、ひとつひとつの文字に、彼女の今が現れていて感動しました。
もしかすると、コロナによって生まれた? 自分を見つめる時間だったのかもしれません。
小学生時代からなんでも話してきた仲良しの彼女は、すでに二人の可愛い孫がいて、海と山に囲まれた町で、4世代家族と暮らしています。
郷里で自分らしい生き方を選択して生きています。
緊急事態宣言が開けたら本物を観に行ってきます。
私自身の芸術は?・・・
今年も音楽の練習に励む日々ですが、森の美術館が恋しくなる季節です。(涙)
残念ながら遠くには出掛けられないのですが、近くで大好きな藤城清治さん(97歳) の影絵の個展があり、銀座教文館に足を運びました。
97歳での制作活動。何故こんなに夢のある世界が描けるのか、本当に素晴らしいですね。
この日、最も心に留まった影絵がこちら。作品のタイトルは「つり橋はぼくのハープ」
1998年に制作し、上皇后陛下美智子様に献上した作品とのことです。
数ある作品の中では色彩もデザインも、とてもシンプル。
このグレーのような白のようなシルバーのような色、光がとてもとても美しく、吸い込まれました。
「海の中のピアノ」。ピアノと小人と魚とチェロが、どんな音を奏でているのでしょうか。
私の父は、藤城清治さんの作品を大層好み、実家には今でも3枚の影絵が飾られています。
その作品は、きっと家族の気持ちを和ませてくれていたことでしょう。
父の心の中にも光や音楽が奏でられ、小人や動物が遊んでいたのかもしれませんね。
私は当時は可愛らしい絵にあまり惹かれなかったのですが、齢を重ねるに連れ好むようになりました。
最も好きな作品は、ラクダに乗った男女が砂漠をゆく静かな影絵です。
藤代清治さんの影絵を見るたびに、自然と父との会話を思い出します。
音楽や美術、文学など、芸術は人のこころに残りますね。
夏から秋へ季節が移ろいます。
与えられた時間で何を選び、何をするかは自分次第。
皆さん、自分の好きなことを楽しみましょうね。