平成26年6月14日土曜日、
満月が太陽に変わり、優しい陽射しが我が家に差し込む頃、
父は静かに息をひきとり、90年の人生の幕を閉じました。
若き日に東京、杉並の地を離れ、海と山に囲まれた自然豊かな由比の町で開業した父。
地域医療を支える医師として、多くの人びとの生命を守りながら“一期一会”を大切に、たくさんの友人や患者さんに囲まれ元気に走り続けた人生でした。
「病院は嫌だなあ〜、最期はここ(自宅)で過ごしたいなあ」
「痛いのも嫌だなあ〜 僕に延命治療はしないでよ。由里子に言っておくからね。頼むよ。」
元気な頃に、父と私が笑顔で交わした言葉です。
6年間の介護生活を経て、今年桜の花が終わる頃から、父は立ち上がるのがやっと、飲み込むこともやっと、という状態となり、父の人生の終末期にも医療と介護、両方のニーズが高まりました。
寝たきり、床ずれ、肺炎、窒息、胃ろうと、終末期におこりうる状態を予防し、12日の訪問リハビリ、10日の訪問入浴をいつものように受け、在宅での点滴は13日夜1本のみ。
前夜、大好きなシュークリームを食し、父自身の最期は父が地域の患者さんにも自分にも望んだ、本人らしい終わり方でした。
これまで長くご支援や励ましをいただいた皆様、
父の人生に彩りを添えてくださった全ての皆様へ、深く感謝を申し上げます。
心からありがとうございました。
お通夜、お葬儀にご会葬いただきました皆様、ご厚志をいただきました皆様ありがとうございました。
医師、ケアマネジャー、訪問介護、看護、リハビリ、デイサービス、福祉用具、住宅改修を提供してくださった介護のプロフェッショナルの皆様、
永眠後にも人生の旅立ちを支えてくれた皆様、ありがとうございました。
今は未だ、懸命に寄り添い続けた母を支えながら、私自身ができたことできなかったことなどをあれこれと考える日々ですが、苦しくも幸せだった6年間の介護生活から得た深い学びを、人々の役にたてる力となるよう一歩一歩、歩いて行きたいと思います。
父はこれからも月の光となり、穏やかな陽射しとなり、
いつも心の中で生き続けていると感じています。
感謝をこめて