ケアコンサルタント 川上由里子公式ブログ

6月、10月、1月と、1年に3回、エッセイの寄稿文を8年続けてきました。
先日、その第24回目の原稿を書き下ろし、無事に冊子が私の手元に届きました!
頁を開く瞬間は、毎回感激の時間。
何故かというと、自分の想いを探求し、文字に変え、1頁に表現するのはそうそう簡単な作業ではないからです。
24回苦しみと喜びにチャレンジさせていただけた、という訳ですね^^
こちらから第12回までのエッセイがお読みいただけます。)

今回のテーマは「支える人を支えるケアデザインの原点」。
多くの人が暮らしの中で関わる誰かを支える時間。
ケアは日々の暮らしの延長ですから、包括的、長期的な視野でその人にとってのケアデザインを考えることが大切だと私は感じています。
今回、そのケアデザインの原点について、あらためて考えみることとしました。

心のエッセイ 第24回「午後4時のティーブレイク」

社会的にも、そして私の周りでも、誰かの介護に関わる人が年々増えています。
介護される人へのサービスは様々生まれましたが、介護する人側はどうでしょうか?
「ケアの悩みに気づいてもらえる機会」「気軽に休息や休養がとれる機会」などを強く望んでいることが、介護体験者からの声でわかってきました。
介護する人にとって必要なもの、介護の技術的なノウハウや知識はもちろんですが、介護する人もされる人も孤立しがちになるため、心の問題の解決も重要です。
そのために必要な情報を受けとる場所や、心の拠りどころが必要で、それらが近隣にあるとなお安心が生まれるでしょう。

皆さんの街、地域ではどんな介護者支援がありますか?どんな地域の力がありますか?
例えば、東京都杉並区では介護者とサポーターが創る地域の拠点「ケアラーズカフェ」を設け「介護者サポーター養成講座」などを実施しています。介護者が学べ、リフレッシュできる場ですね。
「地域資源マップ作り」や定期的な「介護する娘の会」開催など、介護者と支える人が共に活動する仕組みは、思いやりやアイデアに溢れています。
参考:『あなたのまちの介護者支援ガイド』(PDF)

東京都大田区では地域包括支援センターや民間企業などの事業者、住民が一体となり「地域づくりセミナー」を開催し、地域住民同志が異変に気づくことの大切さを共有しています。
また、住民ボランティア「みま~もサポーター」90人が地域でイキイキと活躍しています。
発起人であり代表の澤登さんは、とっても気さくで心やさしい方です。
高齢者だけではなく子供から高齢者まで、み~んなを丸ごと大切にされています。
参考リンク:おおた高齢者見守りネットワーク みま~も

このような動きは全国的にも広がってきています。
1人ではできないことも2人、3人と集まればできることが広がります。
介護には家族力とともに隣近所の助け合い、地域力が大切です。
皆さんも今自分の住んでいる街をちょっと見回してみることをおすすめします。
情報収集の為には、地域の「地域包括支援センター」に足を運んでみてくださいね。

さて、ここまではエッセイの前半のお話ですが、大切な後半部分についてはエッセイの文中からご紹介させていただきます。

ネイティブアメリカンは、悩み事を打ち明けるトーキングサークルを暮らしの習慣にしていました。
人が輪になって座り、一人ずつ話します。
話す人は自分の内面を素直に話すこと、聴く人は口を挟まず批判しないで聴くことが約束です。
昨年、家族の介護が終了した後、トーキングサークルに参加しました。
話すだけ聴くだけの時間がもったいなく思われましたが、終わった後、言葉にできない感情が輪のなかで分散されたような説明のできない温もりに包まれました。
不安や葛藤を抱えた自分の心と向き合い、人に打ち明け、聴き、折り合いをつける、それが支える人を支えるケアデインの原点ではないかと思います。

ネイティブアメリカンが大切にしてきたトーキングサークルの儀式。
私はこの儀式にこれまで4回参加しました。(国内にて)
セージの香り、蝋燭の灯りの中で、聴こえてくるのはトーキングスティックを持った一人の人の心の声のみ。静かな時間です。

私たちは情報や物資に恵まれ、本当に大切なものの存在を忘れてしまっているのかもしれません。私自身も自分自身に問いかけ反省します。

もしも近くに介護している人がいたら、情報提供や自分の意見を伝えることも必要ですが、まずはその人の辛さや哀しさ、または喜びを静かに聴いてみませんか。
相槌を打ちながら心で聴くということは、人に大きな力を与えます。
これは、介護に限った話ではありません。

また、地域の資源があったとしても、それらを活用する意識がなければ、役には立ちません。
介護している人、辛い思いを一人でたくさん抱えている人、心の内を誰かに話してみてください。
誰かの知恵を借りたり、ちょっと休憩したりしながら、自分の元気を養っていくことも大切なことです。哀しみも哀しみではなくなります。
これは、結人の活動の原点でもあるように感じています。
シンプルなことを大切にし、本当に豊かだと思える社会にしていきたいですね。

書くことはいつも自分を探求する作業。そして誰かを想う時間。
講演やセミナーでお話することとはまた違った力を秘めています。
私自身の小さな想いがみなさんの目に触れた時に、何かひとつでもヒントやアイデアに繋がれば幸いです。

心のエッセイ 第24回「午後4時のティーブレイク」

景色はすっかり夏の夕暮れです。すでに厳しい暑さが続いています。
皆さんも水分、栄養をしっかり摂りながら元気に夏をお迎えくださいね。

ご依頼を頂きました三井不動産Let,s plazaの皆様、ニューコムジャパンのご担当者様、オーキャンの佐藤様、ご協力頂きました皆様、そしてご愛読頂きました皆様ありがとうございました。

支える人を支える「仕事と介護の両立」セミナー

カテゴリー: 活動報告

企業人事部様やダイバーシティ推進室様からの「仕事と介護の両立」に関するセミナーのご依頼が増えています。
働く職員に向けたセミナーと制度を作る職員側への勉強会、私は西へ東へと走り回る日々。
働く人の介護にどう備えるか、企業の最大の宝物である“人材”の損失を防ぐために、介護支援制度を前向きに整えようとする企業が増えていることを実感する日々です。

制度を作る方々には介護の実態、在宅介護の風景や高齢者住宅の現状、働く人への影響をお伝えしています。そのことを知らずして制度を作るのは困難です。
組織により状況も風土も異なるため、まずはそれぞれの組織がどんな状況なのか実態把握をすることが大切です。
現在、そして5年後、どれだけの従業員が介護に関わっているか、関わる可能性があるかを把握すると、多くの企業がその実態に驚かれます。

5月、鮮やかなつつじの咲く季節、昨年に引き続き勤続25周年の表彰式という晴れやかな日に、介護セミナーを企画してくださった企業に伺いました。
「今日はとても良い機会になりました。
 なんとなくしか知らなかった制度やサービスがよく解りました。」
「早速自宅でパーソナルデーターを確認しながら親と話してみます。」
「私も他人事ではないので地域でオレンジリングのこと調べてみます。」
「施設探しは本当に大変ですね。」

この日は、同日に別企業人事部様での勉強会セミナーもあり、頭の切り替えが必要。
近年喉を弱めてしまった私は、喉も大丈夫かな?とちょっと緊張でしたが、無事に終了。
皆様も大変熱心にご清聴くださり嬉しい一日でした。
介護は暮らしの延長、最後までどう生きるか、どう関わり合うかということですから、働く人として以前に人として大切なことですね。

支える人を支える「仕事と介護の両立」セミナー

東京都では、中小企業様に向けた支援を開始しました。
【東京都中小企業雇用環境整備推進事業】
小さな企業だからと雇用環境の整備をあきらめず、働く人の介護支援に取り組まれることを願います。

今、私の周囲にも介護中の友人が複数います。
子育てと介護、ダブルケアに直面し、家族や職場、地域の友人と助け合いながら、介護を続けた友人。大切な人を在宅で看取ることができました。
介護保険外の家事支援サービスを信頼できるヘルパーに依頼し、サービスと自分の役割(入浴介助等)を調整しているフリーランス男性。費用はかかるけれど、時間と安心を得られます。
介護休業や休暇をフルに活用しながらあきらめずに遠距離介護を続けている友人。
皆、仕事とのバランス、自分とのバランスを工夫しながら家族を支え続けています。

時には仕事の量を減らすことも必要ですが、質は下げたくありません。
企業に属していない人に職場での介護支援制度はありませんが(私もそうでした)、どんな時もあらゆることに感謝の気持ちを忘れない、そして欲張らないこと、介護する自分を最も支えるものになるのではないかと思います。
その為にも、備えで知識や情報を得ておくことは大切ですね。

毎回、セミナーに使うレジメは丁寧に心をこめて制作しています。
この春からは、東京都産業労働局様の「仕事と介護の両立支援サイト」の介護コラムに寄稿させていただいた「介護の時期別のワーク・ライフ・バランス表」や、両立体験者の声もおまとめし掲載。
レジメと共に使用するオリジナル「やさしいケアガイド」も、現状に合わせ内容を少し修正し増刷です。

セミナー資料

レジメもケアガイドもデザインはワサビさんが担当してくれています。
「資料がわかりやすいので、家族にも伝えられます」と毎回好評です。
結人yuitoの思いが益々皆様に届きますように。
ご依頼をいただきました皆様、ご清聴いただきました皆様、ありがとうございました。

私のお守り「サンフェイスのカチナドール(ホピ族の精霊)」

マンションでは私のお守り「サンフェイスのカチナドール(ホピ族の精霊)」が
「今日も元気にいってらっしゃい」といつも力強く見守ってくれています。

ベネッセスタイルケア 介護のヒント

ベネッセスタイルケア様より自分らしい介護について取材のご依頼をいただきました。
私の体験や知識がお役に立てそうなお仕事でしたので、取材のご対応と冊子全体の監修にご協力させていただきました。

「介護のヒント」は一般の方々に向けて介護に関する基礎知識や情報、ヒント、メッセージをまとめた明るくわかりやすい冊子、やさしいイラストも添えられていて思わず頁を開きたくなります。

介護体験者のストーリー、介護を支える方々からのヒント、そして、認知症の専門家である長谷川和夫先生の特別寄稿。
私の頁は「介護の宝物探しは介護される人、する人、それぞれの自分らしさを大切にすることから」というテーマで心のメッセージをおまとめいただきました。
掲載記事の最後に四葉のクローバーのイラストが添えられていて、ちょっと嬉しくなりました。

介護の時間は不安や緊張を伴い重い心に沈みがちですが、人の手を上手に借りることができたり、介護しやすい・されやすい空間づくりを心がけるなど、工夫することで、次第に自分らしさを大切した介護の発見につながります。
どんな時も自分らしさ探しをあきらめないで進みたいですね。
周りで介護中の方がいたら声をかけてあげるきっかけにもなるかと思います。

ベネッセスタイルケア 介護のヒント

残念ながら、この冊子の販売はしていないそうですが、冊子を読んでみたい方はベネッセスタイルケア様(お客様窓口0120-165-134)までお問い合わせください。
介護を学びたい方、備えたい方、知ってみたい方にはお役に立つ1冊かと思います。
情報や知識をきちんと得ることができると、次の行動につながりますよね。
ご依頼いただきましたベネッセスタイルケアの皆様、共にわかりやすく心ある情報発信を考える貴重な機会をありがとうございました。

大切なことが、必要な人に届きますように。

「結人Cafe」開催のご報告

カテゴリー: 活動報告

結人Cafe 風景

お天気に恵まれた12月3日、楽しみにしていた「結人Cafe」を開催しました。
場所は六本木の駅近く、大きな窓からやわらかな冬の陽射しが差し込む明るいお部屋。
お集まりいただいた皆様と和やかなカフェタイムを共有させていただきました。

まず第一部は私川上から、認知症に関するお話を。
認知症サポーター養成講座の研修は、キャラバンメイトという研修を受けた講師により様々な講座が全国で開催されています。
講師は介護職や看護師、医師や当事者など、認知症の正しい理解や望ましい接し方を中心に、講師の特徴がそれぞれ表れている内容となっています。

私も私の伝え方や言葉を心がけています。
認知症を患った当事者の方の軌跡やメッセージを伝えること、私自身のコンサルタント(支える側からの相談を受け問題解決のための具体的支援)として、そして家族としての体験を実例から伝えることを大切にしています。
どんなこともそうですが、理解することのみなならず、自分ごととして感じられた時にはじめて体や心が動くのではないでしょうか。
認知症になっても心が生きている、そう感じながら寄り添える人が一人でも増えてほしいと願いながらの講座です。
日頃の私のセミナーと比較すれば、だいぶ穏やかなお話となりましたが、今回お集まりいただいた皆様にもあたたかくご清聴いただくことができました。

結人Cafe スライドより

川上由里子オリジナル資料より 
40代に始まった遠距離での家族支援、事例紹介は私自身の在宅介護のケースも交えて

結人Cafe スライドより

家族の心の声

2部は山崎洋子講師(ケアマネジャー・介護福祉士・介護予防運動指導員)によるミニ認知症予防体操の時間。
山崎講師は日頃多くの高齢者に介護予防や認知症予防運動を指導しています。
単純なのに結構難しい体操にちょっとどきどきわくわく。
私も徐々に固まりつつある脳をほぐしていただきました。(笑)

山崎洋子講師、場の空気の作り方が流石ですね。
実際に体と指と心を動かし、参加者全員からの笑顔が溢れる時間となりました。
楽しく明るく役立つ体操をありがとうございました。

認知症予防体操

脳は意識的に鍛えることができる時代となりましたが、一人で行うよりカフェでみんなで楽しく、というのはやっぱり良いですね。

川上 由里子

カフェタイムではあったかいコーヒーとお菓子でリラックス。
こういう時間がとっても好きです。

ご参加者の皆様はそれぞれ介護の経験や思いを持ってカフェにお越しいただきました。
母親の介護、戸惑う父親の支援に丁寧に直面している友人はご姉妹で。
元介護職、現在オフィスレディ、お二人もの先輩の看取りを体験され、ご自身も遠く離れて暮らすお母様を穏やかにしっかりと支援している女性。
民間企業から転身、デイサービスで働く介護職の男性からは、離職が多い介護職の現状を。
また、突然に夫の親介護をすることになった女性からは、嫁としての戸惑いや思い、私にはまた体験のできない世界の思いをうかがいました。
それから「今の段階で聴いておけてよかった。多くの人に聴いていただきたい。」と率直な感想をお話してくださった親支援に備える働く女性。
自分史を提唱しながら介護と仕事との両立を支える女性は、10月東京都庁でのシンポジウムをきっかけにご参加してくださったとのこと。ご自身が書かれた「親ブック」を紹介してくださって、まさに親のことが描かれている素敵な親ブックを皆でほ〜とのぞきこみました。
結人スタッフからは、40代で夫の介護に直面という言葉にもできないような体験を、その間の心の機微を自身の言葉で丁寧に語ってくれました。

ケアに感心を持っている方、実際に行っている心のあたたかい方々との結人カフェの時間となりました。
大切な誰かを支える方法や思いはそれぞれ異なりますね。
もっともっと皆さんのお話を聴きたかった、というのが私の正直な気持ちです。

ご参加者の皆様、いかがでしたでしょうか。きっと話し足りなかったのではないでしょうか。
未だまだ運営も不慣れで、ご来場の皆様にも十分なご満足をご提供できなかったことと思いますが、皆様本当にありがとうございました。

結人カフェでゆるゆるとケアの話をしませんか?
自分の心の声に耳を澄まし穏やかに見つめる時間。
お逢いできる日を楽しみにしています。

オレンジリング

オレンジリングをつけた認知症サポーターが誕生しました。
人の幸せの為に、今日からできることを共に。

結人三銃士

できることを持ち寄って。どんな時も強くあたたかいスタッフの涼子さん、講師の洋子さん、オレンジケアケアチームお疲れ様でした。運営撮影はワサビさんです。

ミッドタウンイルミネーション

カフェ終了後は帰り道に東京ミッドタウンの庭の青いイルミネーションでホッと一息。
「ご参加者は楽しめたかな?役に立てたかな?」
「忙しいスケジュールの中でどうなるかと思ったけれど、とにかく良い時間だったね。」

明日も明後日も、来年も、結人はコツコツと、人と人の心を結び続けていきたいと思います。

皆様にとって2016年はどんな一年でしたでしょうか。
関わってくださった全ての皆様、結人をご覧いただき応援してくださった皆様、心より感謝いたしております。ありがとうございました。
皆様にとって来年もやさしく輝く年となりますようにお祈りしています。

故郷の八幡神社から大晦日の夕暮れをお届けします 。
駿河湾を包み込むような薩埵峠。
ゆく年くる年 皆さまどうぞ良いお年をお迎えください。

八幡神社から大晦日の夕暮れ

読売新聞

ワサビです。

本日12/22(木)読売新聞の「呼び寄せ」がテーマの記事で川上さんが取材を受けました。
ネットでも記事が読めますのでこちらからご覧ください。

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