ケアコンサルタント 川上由里子公式ブログ

小さなケアの相談

カテゴリー: ノウハウ

 相談業務の責任者として声をかけられてから試行錯誤しながら作成した介護相談は、1999年の無料対応から出発し、現在ではとても高額な相談料となりました。ご相談内容から問題点を明確にしアセスメント、支援の目標をきめ、相談者が自ら判断選択できる為のサポートを行い、フェイスtoフェイスで問題解決に共に望みます。相談にみえた方が理解しやすい言葉で資料に整え、その方の暮らしにそったオリジナルを提出します。

 こちらが大きな相談だとすると・・・・私は最近よく小さな相談対応をしています。

 先日、故郷での母と私の会話です。

母 

「昨日○○さんにあったら、おばあさんの介護でとっても忙しいのに図書館で一日中勉強していたそうよ。おばあさん、ひどい便秘らしいの。認知症のお姑さん抱えて大変そうだわ。何とかならないのかしら。」

私 

「便がでないんだ、それは大問題、本人も家族も相当困ってるね。排泄問題って最も大切なことだものね。その悩みって担当のケアマネジャーやデイサービスのナースや介護士に話したのかな?」

母 

「さあ、話してないと思うわよ。どうして?」

私 

「そういう時こそケアマネジャーの出番なんだよ。○○さんにそう伝えてみて。」

母 

「あら、そうなの。そんなこともケアマネジャーに相談していいの?」

私 

「話していいの。排泄のコントロールってとっても大事だけど難しい。特に排便は健康に直結するし、そもそも体内の水分量や筋肉が減り腸の蠕動運動っていう運動が弱くなる高齢者には便秘で悩む方がとっても多いの。どこに問題があるのか、どんな方法で解決できるのか、専門的な知識も必要だから、家族だけで考えずにプロの力も同時に使ったほうが早道だよ。
・・・・最近、おばあさんは何か排泄で失敗して怒られたりしたかな?」

母 

「そうそう、先日大きな失敗をしてついつい怒鳴ってしまったみたい。」

私 

「そう・・・それでお水を与える量を控えてしまっている可能性もありそうね。おばあさん自身も萎縮して控えてしまっているかもね。」

母 

「わかったわ、それじゃあ明日早速ケアマネジャーに相談するように伝えてみるわね。」

私 

「うん、それが良いよ!話してみてね。
あ、待って。その時にこの情報を伝えるとよいよ。今メモするね。」

  【 MEMO 】

  1. 排泄日誌の記録を
    排便、排尿のあった時間帯、飲水の時間、量、食事を観察して数日間メモしてください。できる範囲でよいので。(水分は一日1,000CC以上は必要、水分がとれなければ果物でもOK)

  2. おばあさんが以前から便秘を解消できた食物はありませんか 食物繊維を含む食品など活用を

  3. おばあさんの過ごしている部屋からトイレまでの通路・トイレ内の環境の確認
    歩きにくくないか、動きやすいか、暗くないか、安全か等の確認 
    トイレにいきやすい環境を

  4. おばあさんの着ている洋服や下着orオムツは、着脱しやすいか、衣類と動作の確認

  5. ホットタオルで温湿布 お腹を「の」字に時計回りにゆっくりマッサージ

  6. 一定時間に目覚め 適度な運動を

  7. 本人がリラックスして排泄しやすい気持ちとなるように心がけて

私 

「2、3日の排便、排尿、食事がわかると、どこにどんな問題があるかわかりやすいのでケアマネジャーや介護スタッフも対応を考えやすくなるからね。これがないと生活状況がみえないので下剤を処方されて終わりとなってしまうこともあるから。あと、からだだけでなく、周辺の環境も大事なんだよ。それでもだめなら、私が直接訪ねるからまた声かけてね。」

母 

「OK!」

・・・それから数日後 嬉しい便りが私に届きました。

母 

「○○さんに会ったら大きな声で私を呼ぶの、川上さんあったのよあったのよ便が。あのメモで確認したら水分を控えていたことがわかったから少し試してみたの。その他もメモどおり確認したの。そうしたら長く苦しんでいた便秘が解消されてもう嬉しくて。何よりも本人が一番楽になって喜んでいるの。助かったわ、本当にありがとうございました。由里子ちゃんにお礼を伝えておいてね。」

 初夏、両親が大切にしてきたちいさな町での小さなケアの相談、私もとっても嬉しくなりました。
様々なことが自分の力ではできなくなってしまうことの多い高齢期。私たちは当事者の気持ちに変わることはできませんが、私たちにもできることがあります。この町で暮らす人たちにケアからケアを伝えましょう。周囲に便秘の方がいたら、さりげなくご家庭で試してみてください。

 日本コンチネンス協会では排泄に係る相談を行っています。心強い味方です。私も以前、排泄で困っている方の力になれる為にとコンチネンスアドバイザーの研修を受けましたが大変参考になりました。研修の事前宿題には自分でオムツをつけ排泄を試みるなども。

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