一昨年と昨年は富士山の奥庭荘で行われたインディアンフルート課外レッスン。
今年は恩師マーク・アキクサ氏とココペリ倶楽部の皆さんと武蔵御嶽神社に向かいました。
普段は東京のスタジオで練習をしていますが、恩師は森羅万象に宿るスピリットと共鳴を体感することを大切にしてほしいと生徒に願い、課外レッスンを開催しています。
しかし、これが結構ハードな為、私は「参加できる?皆さんに迷惑かけない?集団行動大丈夫?」と自分自身にいったん問いかけ心配したのですが、「とにかく行きたい!自然が、鳥が、私を呼んでいる!」と今年も参加することを決めました。
新宿から青梅方面に向かうホリデー快速に乗車し御嶽駅下車。
ケーブル下までバスに乗車し、滝本駅へ。私は一番乗りで皆の到着を待ちました。
そこからケーブルカーに乗車し御岳山駅までは約6分。
高く広く緑と大地と空色が360度広がります。
早速、川のせせらぎを聴きながら森林を歩く歩く。
写真は御岳山のロックガーデンです。先頭で指をさしているのが私。
ガイドをしているのではなく、「え~あんなところまで行っちゃったよ~無理~」と、天狗岩にするする登ってしまった人間とは思えないマークさんを指さしています。
輪になって水辺でのレッスン。即興演奏では皆の音によく耳を傾けます。
それぞれの短い即興のフレーズがつながり、気がつくと皆でひとつの曲になっていきます。
隣の人、また隣の人へと音がつながっていくと、人も次第につながっていくので不思議です。
「わ~滝だ~」勢いのある滝の音。目的地、綾広の滝は神秘的な聖地でした。
激しい滝音をバックに「チェロキー族の水を讃える歌」を全員で合奏。
インディアンフルートは自然と共鳴できる楽器なんだな~と全身で感じます。
こんな体験はなかなかできません!!笛と自然が大好きな私。
マークさん率いるココペリ倶楽部のメンバーであることにあらためて感謝感激の瞬間でした。
動画がマークさんのインスタグラムに上がっています。ご興味のある方は御覧くださいね。
宿坊に泊まるのは初めて。
昨年の山小屋はお風呂がなく雑魚寝でしたが、宿坊「蔵屋」は貸し切りで、この晩はゆっくりとお風呂に入り整えられたお布団で眠ることができました。
その晩は眼下に広がる関東平野の灯りと、頭上のお月さまを眺めながら、明日の奉納演奏の成功を祈ります。
宿坊では「チェロキーのモーニングソング」を練習する笛の音が夜遅くまで静かに響いていました。
翌朝、昨年と同様お天気に恵まれました。
早朝7時からの奉納演奏の為、また330段の階段を黙々と昇ります。
足腰も勿論ですが、深い呼吸で心肺機能が鍛えられますね。
きつ~ 一歩一歩 がんばれ~と自分を応援!
標高929メートルに位置する天空の御嶽神社。
そこは、さらに素晴らしい関東一円の眺めで圧巻でした。
祀られている「大口真神」は日本狼です。
境内に和太鼓の力強い音が鳴り響きました。
お祓いを受け、1人ひとり丁寧に玉串拝礼を行った後、マークさんの美しい笛の音が響きました。
この時点で相当感動したのですが、感動している場合ではありません。
アンディーさんのネイティブ・アメリカンドラムの音に続き生徒も一緒に奉納演奏開始です。
心を無にして静かに笛を奏でました。身も心も浄化されたような気持ちの良さ。
インディアンフルートはネイティブアメリカンの楽器ですが、日本の篠笛や龍笛に近い楽器のように思います。
不思議と私自身が日本人であることを真に感じ、感謝の気持ちに溢れた時間でした。
「ここに来れてよかった。神様ありがとう~」心の中で泣き叫びます。
無事に奉納演奏も終え、安心し朝食を摂った後に最後のレッスンへ。
再び森の中に出掛け即興演奏練習は続くのでした。
譜面を読み演奏する練習とは異なり、即興演奏は何度やっても違う難しさがあるのですが、音やメロディー、リズムに人柄が出るので面白い&怖い。
言葉はなくともその人が見えてきます。
レッスン終了後はわずかな自由時間で私は単独行動。
山小屋でマスターがたてるコーヒーとランプの灯りにほっと癒やされた時間でした。
この日はお天気も良いため、色とりどりの山愛好家が訪れ賑わっていました。
お土産物屋さんで熊よけの鈴をひとつ買いマイザックにつけました。
帰路は青梅から都内方面へ、立川、新宿を抜けて約3時間。
距離は近くですが、なんという達成感でしょう。
山登りの魅力がほんの少しわかったような気がしました。
今度は一人でもふらっとおにぎりを握って出掛けられそうです。
紅葉の季節や、森の妖精といわれるレンゲショウマの咲く季節に訪れてみたいものです。
東京に帰宅後、マーク先生、マネージャーのミナさん宛に早速、感謝のメッセージを送りました。
共に時間を共有してくださった皆さんも、楽しい時間をありがとうございました。
帰宅したその晩から休むことなく大急ぎで仕事に戻りましたが、サクサクと捗りました。
明日からまたパワーアップして様々なことを頑張れそうです。
大自然とつながれる時間、同じ目的を持つ人とつながれる時間は宝物です。
私の今年の夏の小さいけど大きなチャレンジでした。
木でできているインディアンフルート(楽器)も、ご縁があり奉納演奏ができたこと、山深い森林にいけ、鳥の声を聴き、風を感じたこと、さまざま喜んでいたように感じます。
人間は自然の一部です。自然の中に身を置く時間をこれからも大切にしたいと思います。
武蔵御嵩神社様、皆様、私につながるすべてのものへ、
心よりありがとうございました。
これで、私の夏の課外レッスン記はおしまい。
最後に、電車の中で読んでいた本の中からネイティブ・アメリカンの言葉を3つ皆様にお届けします。
もし この世界に歌がなければ
鳥も人間も みんな死んでしまう
人間も動物も 森も河も そして海も自然の大学なのだ
学ぶべきものが すべてそろっている
そして与えてくれている
大地とは 魂のやすらぎを与えてくれる
生きる勇気を与えてくれる場所
また 大樹を育ててくれるところ
だから 年老いたインディアンは
土の上に座り 横たわり 考える
大地は 生きる不思議を教えてくれる
「ネイティブ・アメリカンのこころがよろこぶことば/塩浦信太郎」(東京書籍)
それぞれの美しい秋をお楽しみ下さい。